【塩釜×不動産】古さと新しさが同居する本塩釜の魅力と空き家再生のヒント

先日、塩竈(しおがま)市の本塩釜駅周辺を歩いてきました。

私が不動産業を始めたきっかけは、空き家を地域資源として生かしていきたいという思いからです。
町を実際に歩き、古い不動産や空き家がどのように再生され地域に溶け込んでいるのかを知ることは、とても意味のあることだと感じています。

不動産は建物だけではなく、その土地の空気や人の暮らしとつながっているもの

今回の まちあるき では、町がどう変わりつつあるのか、何が人を引きつけているのかを、肌で感じることができました。

空き家・中古物件を活かす「新しい風」

本塩釜駅から本町通商店街や鹽竈(しおがま)街道を歩いていると、昔ながらの建物と新しいお店が同じ景色の中にあることに気づきます。

たとえば、老舗の日本酒蔵「浦霞(うらかすみ)」の酒ギャラリーや、
明治時代の旅館を活かした建物「旧ゑびや旅館」、
味噌や醤油を代々造っている「太田與八郎商店」など、
歴史ある建物が今も丁寧に使われていました。

一方で、チョコレート工房やジェラート屋、かき氷の専門店など、若い世代が立ち上げたと思われる新しいお店も点在しています。

これらの店は、古い建物をリノベーション(=古くなった建物を一新し、価値を高める工事)して使っていました。
建物を壊さず、むしろ古さを生かしながら明るくて清潔感のある空間に生まれ変わっています
空き家・中古物件再生の面白さを再発見し、ワクワクしました。

津波を乗り越え、今を生きる町の力

この地域は、2011年の東日本大震災で津波の被害を受けた場所でもあります。

それでも、ひとつひとつのお店が個性を活かして再出発し、人が集まる町へと歩みを進めています。
さまざまなお店が集まることで町全体の魅力が底上げされていて、昔からの文化や風景が新しい形で引き継がれているのを感じました

かつて鹽竈神社の門前町(=神社の参拝客を受け入れる町)として栄えていた本塩釜。

今も、通りを歩けばこの店は何だろう?と、思わず足を止めたくなる場所がたくさんあります。

まちあるきの案内人の方が、各店舗のスタッフの方に丁寧にご挨拶されていた姿も印象的でした。
お店の方だけでなく様々な人が関わって、地域を作っているという温かさが伝わってきました。

古い建物に流れる、ゆっくりとした時間

まちあるきの最後に訪れた「旧亀井邸」や「杉村惇(すぎむらじゅん)美術館」では、時間がゆったりと流れているような感覚を味わいました。

どちらも昔の建物の趣や良さを残すため丁寧に修繕し、公開されています。
こうして建物を残し、次の世代へ引き継いでいくことに大きな意味があると感じました。

町全体の雰囲気に深みが出るだけでなく、その町ならではの魅力として根づいていく。

どちらも一般住宅の範疇を越えた立派な建物だけに、修繕を続け残していくのは大変な労力がかかると思いますが、未来の資源として残していくことに意味があると感じました。

空き家=未来の入口になることも

この本塩釜での経験を通して、「空き家=問題」ではなく、「空き家=可能性」と捉える視点を改めて持ちました。

たとえば、ある人には手放したいと思う建物でも、別の誰かには「理想の拠点」になるかもしれません。
そしてその人がそこで始めたお店や活動が、町に人を呼び、地域の価値を引き上げることもあります。

実際、本塩釜ではそうした再生の連鎖が起きていると感じました。

空き家を活かすことで、町が元気になる。人がつながり、思い出がつながる。

私はこの仕事を通じて、そんな場所をもっと増やしていきたいと思っています。

最後に ― 空き家をお持ちの方へ

もし今使っていない建物があって、どうしたらいいか迷っている、もう誰も住まないし…と感じていても、使い道はきっとあります。
本塩釜のように、少し手を加えるだけで、人が集まる場所に生まれ変わる可能性があります。

空き家があることで生まれる出会いや再出発の物語を、もっと多くの地域で見ていきたい。

そんな希望を持って、これからも空き家と向き合っていきたいと思います。