1.基本情報
・訪問地:広兼邸(岡山県高梁市成羽町)
・訪問時期:2007~2010年ごろの春
・訪問のきっかけ、興味を持った理由
映画『八つ墓村』(1977年・金田一耕助シリーズ)を観て、そのロケ地である広兼邸をぜひ見てみたいと思いました。
ちょうど旅行先が近く、映画の世界に浸れるのではと期待がふくらみました。
2.地域概要
※後日追加予定
3.当時の印象
・バスに揺られ、のどかな山里を抜けて到着。
道中、斜面にぽつんぽつんと建つ家々が印象的でした。
どの家も敷地にゆとりがあり、山の傾斜にそって美しく点在していました。
・広兼邸もそんな風景の一部に溶け込むように佇んでいましたが、ひとたび正面の石垣を見上げるとまるでお城のような風格に圧倒されました。
長い坂を上りきると、ようやく屋敷にたどり着きます。
・石垣の上から見下ろす山里の景色もまた格別。
建物は斜面に対して直角に近いような配置で、地形に沿った設計がされているのだと感じました。
・屋敷の中は板の間や畳の部屋があり、どこか使い込まれた雰囲気。
贅を尽くすというよりは、機能的で質実剛健な印象を受けました。
引手や建具などの細部は意外にも簡素と記憶しており、豪壮な外観とのギャップに驚きました。
4.ひとこと感想
重機のなかった時代に、このような立派な石垣の邸宅が山深い地に築かれたことにただただ驚きました。
そこには、家を構えた人の誇りや、作り手の情熱がこめられているように感じられます。
映画で見た八つ墓村のイメージから、陰鬱でおどろおどろしい雰囲気をどこかで想像していました。
が、実際に訪れた春の広兼邸は、うららかな日差しに照らされた石垣と山々の緑に囲まれ、むしろ清らかで開放的な空気感でした。
そして、傾斜地に沿って家が建てられているこの地域の姿から、土地の形に寄り添いながら暮らしを築く山里ならではの建築様式が確かにあるのだと気づきました。
全国には、こうした歴史や地形に根ざした建物がまだまだたくさん残っているのではないか。
そんな想像に胸がワクワクとしました。
これからも各地の古民家や町並みを訪ねていきたい、と思わせてくれる訪問でした。