蕪島は青森県八戸市にある小島で、ウミネコの繁殖地として全国的に知られています。
観光写真などで鳥居越しに無数のウミネコが舞う光景を目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
私自身も、義母に誘われて訪れることになった時には、子どもと一緒にその光景を実際に見られるのだと期待に胸をふくらませていました。
ところが訪問した季節は秋。
残念ながらウミネコの姿は一羽もなく、少し肩透かしを食らった気持ちになりました。
それでも静かな蕪島を楽しみ、周辺地域の自然の豊かさを感じられたことは、旅の大きな収穫でした。
1.基本情報
・訪問地: 蕪島(かぶしま)(青森県八戸市鮫町)
・訪問時期:2023年もしくは2024年秋
2.地域概要

八戸市の東部、太平洋に面した種差海岸。
その最北に位置するのが蕪島です。
国の天然記念物に指定されており、春から夏にかけては数万羽とも言われるウミネコが繁殖のため飛来します。
かつては独立した島でしたが、戦時中に旧日本軍によって埋め立て工事が行われ、現在は陸続きとなりました。
丘のようにこんもりと盛り上がった地形が、もともと島であった名残を伝えています。
蕪島の頂上に鎮座する蕪島神社は、「蕪(かぶ)」と「株」が同じ読みであることから、株価や人望の「株」が上がるご利益で有名です。
さらに蕪島は、みちのく潮風トレイルの北の出発点でもあり、海と山の景観を楽しみながら長距離散策を始められる拠点にもなっています。
参考:「蕪島」,青森県観光情報サイト
https://aomori-tourism.com/spot/detail_29.html
3.当時の印象
新幹線で八戸駅に到着し、八戸線に乗り換えて鮫駅で下車。
電車には同じように蕪島周辺を訪れる観光客がちらほら見られ、車内には小さな旅気分の高揚感が漂っていました。
駅を出てしばらくすると、蕪島の小山が目に飛び込んできます。
ふもとの鳥居も含めて、その姿は一目で目的の場所だと分かる存在感でした。
島のようでありながら陸と繋がっている独特の景色は、土地の歴史を感じさせます。
ウミネコの姿こそありませんでしたが、神社の境内にはウミネコをかたどった像や、休憩所にある展示が繁殖地としての蕪島の魅力を伝えてくれました。
多くの参拝客でにぎわいながらも、秋ならではの落ち着いた空気が漂っていました。
海岸沿いには海水浴場や科学館もあり、子どもと一緒でも飽きずに過ごせる環境が整っていました。
4.ひとこと感想

後から知ったことですが、ウミネコが蕪島に飛来するのは春から夏にかけての繁殖期だけ。
その後旅立ちの時期を迎えるため、私たちが訪れた秋にはその姿がなかったのです。
最初は残念に思いましたが、静かな蕪島神社や海岸の景色をゆっくり楽しめたのは、この時期ならではの体験でした。
神社の社殿は新しく建てられたもので、彫刻の美しさが印象的でした。
境内裏手の彫刻群も目を楽しませてくれますし、小山の上から望む海の眺望は格別でした。
冷たい海風に身体が冷えた時も、蕪島休憩所でほっと一息つけたのはありがたいことです。
案内所の方が親切に声をかけてくださり、地域の人々が訪れる人にこの土地を楽しんでもらいたいと願う気持ちが伝わってきました。
帰り道には路線バスに揺られ、海岸沿いを東へそして南へ巡っていきました。
車窓から荒々しい岩場と広い太平洋を眺めました。
時折見える遊歩道を歩いたらどれほど気持ちがよいだろうかと想像が膨らみます。
その後訪れた種差天然芝生地は、海辺の岩場と芝生のコントラストが美しく、子どもたちが芝生を滑ったり走り回ったりと大いに楽しんでいました。
次回はぜひ春に訪れ、空を埋め尽くすウミネコの姿を目にしつつ、海沿いのみちのく潮風トレイルを歩いてみたいと思います。