不動産仲介というと、現地で案内する人というイメージが強いかもしれません。
でも実際には、机の上や現地・役所等でじっくり調べる裏方の仕事がかなりのウェイトを占めています。
今回は、ある物件の売買仲介を進める前に行った机上調査のお話をしたいと思います。
登記簿・公図の確認
最初の第一歩は法務局が管理する登記簿や公図。
ここでは登記簿(不動産の持ち主や権利関係の情報)を確認します。
具体的には、
- 誰が持っているのか
- 抵当権などの権利がついていないか
- 土地と建物の筆が一致しているか
など、法的な視点からのチェックが中心です。
所有者は親御さんだけど、建物の名義は別の人だった、なんてこともあるので、しっかり見ておくことが大切です。
また、土地の位置や形状を調べるには公図を使います。
役所で用途地域や接道状況の確認
そのあとは役所の建築指導部門の調査です。
ここでは、その土地がどんなエリア(用途地域)にあるのか、道路にちゃんと接しているかなどを確認します。
家を建てられるエリアかどうかはもちろん、建て替えできるかどうかも、こうした情報で変わってきます。
現地に行って道があるように見えても、それが公道ではなく私道だったり、建築基準法上の道路ではなかったりすることもあります。
だから、見た目だけで判断しないことが本当に大切です。
上下水道局ではライフラインをチェック
続いて上下水道局に調査することも。
土地や建物の近くに、上下水道の引き込みがあるかどうかを調べます。
実は、これがないと水回りの工事に大きな費用がかかる場合があります。
図面だけでは分からないこともあるので、必ず現地と照らし合わせたり、上下水道局に照会しながら確認します。
初心者あるある失敗談:ブルーマップはどこに?
初回の調査時、ブルーマップ(地番と住所を結びつけた地図)を探しに法務局へ行ったときのこと。
意気込んで行ったものの、該当地域のブルーマップがない、と焦ってしまったことがありました。
実はブルーマップは、すべての法務局に置いてあるわけではなく、地域によって管轄が違うこともあるんです。
この経験から管轄を事前に調べてから調査に行くことを勉強し、以降の調査に活かしました。
一つ一つが安心につながる
こうした調査はすべて、売主さんにも買主さんにも、安心して取引してもらうために欠かせない作業です。
売主さんからの情報を丸呑みするのではなく、調査でしかわからない法的な面やリスクもあります。
逆に言えば、こうした机上調査によって安心して次のステップに進めるように整えることが、私たち仲介業者の役割でもあります。
同じ物件は一つとしてないからこそ
先輩方がよく言うように、同じ物件は一つとしてありません。
登記の内容も、接道の状況も、インフラの整備状況も、本当にそれぞれ違います。
だからこそ、毎回これは初めて扱う物件という気持ちで丁寧に調査をする。
見えないところでしっかり支える仕事をしていきたいと思います。